yumiko orishige : the muse of claviola
2008年初旬まだ寒い頃NYで折重由美子さんのレコーディングに参加する機会があった。広島をフランチャイズに活躍しているピアニスト、キーボーディスト&作曲家の方だ。まあご活躍中のピアニスト、キーボーディスト&作曲家の方々は世界にゴマンといるが、クラビオーラ (Claviola) という大変希少な楽器の名手であるという点で彼女は世界的にも珍しいアーティストであることは間違いない。
このクラビオーラという楽器、まず殆どの方が見た事も聞いた事も、そして聴いた事もないと思う。ドイツの大手楽器メーカー Hohner が90年代にたった数ヶ月生産してそれっきりになった殆ど幻の楽器で日本にも数台しかないと言われている。Hohner といえば実はハーモニカのトップブランドでその他にもクラビネットなど斬新な楽器を数々開発してきた老舗だがクラビオーラだけはどうも失敗だったようだ。サイズは小振りのアコーディオンぐらいで同様に手で抱えるのだがアコーディオンのように伸びた縮んだりはせず、ピアニカにある様なチューブを通して息を吹き入れてピアノ鍵盤を演奏する。
その肝心のサウンドだが、一言で言えば「間抜け」。かつてここまで間抜けな音を出す楽器があっただろうかと5分ぐらい西洋音楽の歴史を振り返ってしまうほどの間抜けサウンドである。専門的に言えば波形の倍音構成が単純で演奏者が未熟な場合サウンドの変化が乏しく、その割には楽器構造が複雑な為にアタック感のない緩いエンベロープのなんとも間接的な音がするのである。
ところがところが… 単なるピアニカやアコーディオンの変種としてではなく1つの立派な楽器としてクラビオーラに接してくれる名手に出会うと、なんとも優しくてちょっとだけ甘い、心地よいメロディを奏で始めるのである。今流行りの「癒し系」などと言う言葉でまとめてしまうには失礼な上に勿体ない、心に沁み入るトーンだ。これこそがまさに由美子さんの「声」である。
そして彼女の最新CD「Perpetual Dream」が遂にリリースされることになった。詳しくは折重由美子公式HPをご覧になって頂きたい。そしてCDだけでなく是非是非ライブでクラビオーラのサウンドを体験して頂きたいと思う。私がアレンジを担当した曲はCDのタイトル曲にもなっている Perpetual Dream という曲だ。作業はコードもなにも指定されていないメロディのみの楽譜を日本からファックスしてもらってそこにシンセサイザーで周囲に重ねて行く方法で作られた。一曲を通してクラビオーラ、ピアノ、シンセサイザーのみで構成されている。あたかもメインの題材の周りに油絵で背景を加えていくような作業だった。また今回は由美子さんの創るメロディと私のハーモニー感覚、彼女のクラビオーラのトーンと私のシンセサイザーのサウンドがものの見事にシンクロしたと感じている。
ピアノであれカスタネットであれバイオリンでリコーダーであれ、簡単にマスター出来る楽器なんて存在しない。私はどんな楽器にもその楽器一筋のスペシャリストがいて、その方の演奏を聴かない限りその楽器を語れないと思っている。クラビオーラに関して言えば彼女の演奏がまさにそれに当たるのである。
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次回は写真ネタ。

クラビオーラという楽器があるなんて知りませんでした。
早速聴かせて頂きましたが本当に音色が素晴らしいです。
感動しました!!!
dear Carrie
コメントありがとうございます。最新CDはいろいろバラエティに富んでいてなかなか面白いです。是非聞いてみてください。
hiroさん、こちらで紹介していただき、ありがとうございます☆
hiroさんがアレンジしてくださったPerpetual Dream・・・とても好評です♪
クラビオーラは特にこの梅雨の時期はとんでもなくご機嫌ななめですが、
そういうところもかわいいです。
NYはやはり乾燥してたからでしょうか・・元気いっぱいに活躍してくれました☆
・・・というようなデリケートな楽器ですが、これからも大切にしていきたいと思います♪
ありがとうございます☆
dear 由美子
そうか湿気にも弱いんですね。せめてもう一台スペアがあればいいのにね。頑張ってみんなで探しましょう。