•2008年 5月22日 (木) •
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ロシア五人組の一人、アレキサンダー・ボロディンの代表的オペラ「イーゴリ公」の中に「だったん人の踊り」という有名な曲がある。原題から考えてポロヴェツ人のダンスなのだが何故か日本に輸入された時にだったん人の踊りになってしまった。日本初演は1965年だからさほど遠い昔ではない。そんな曲知らん、という方はピアノで
「レレラーーー ソラファーーミレ ミファソーー」(懐かしの色音符)
と弾いてみるとハハァと判る。それでも謎な方はようつべのこのファイルを00:44から聴いてみてほしい。
さてこの名曲、初めて聴いた時にはまだ polovtsian dance なる原題を知らなかったため邦題の「だったん人」とは一体何者なのか大変気になった。カタカナ表記でない以上、ダッタニアンとかダッタニーズとかそういう民族ではないのは確かだ。それからかなりの月日が経った後、忘れた頃に私はこの「だったん」に出会う事になる。1つは江戸時代に間宮林蔵が樺太探検で発見した間宮海峡の別名(だったん海峡)、それにここ数年人気のだったんソバである。余談だが間宮林蔵の直属上司が遠山景晋、遠山の金さんの父上だそうだ。更に調べてみるとこの「だったん」とはモンゴル高原から東ヨーロッパまで広域に分布していた遊牧民族タタール人のことで「韃靼」がその中国語表記ということが判った。タタール(tatar 又は tartar)とは「その他の人達」という意味でヨーロッパ人から見ればオリエントの方角からやって来る「その他の人達」はみなタタールだったに違いない。また日本でもモンゴル人とその他の遊牧民族を十把一絡げで適当に韃靼と呼んでいたようだ。
さてこの遊牧民で騎馬民族のタタール人は乗り物として多数の馬を引き連れていたが、同時に役に立たなくなった馬を食料として生で食べる習慣があった。今で言う馬肉のタルタルである。その後タタール人のヨーロッパ移動と共に生肉文化もヨーロッパ化され牛のタルタル、ツナのタルタルなどのバリエーションが登場した。またこれにはジンギスカン鍋や鴨南蛮のように食事のエスニック性、蛮性を強調するネーミングということでタタール風と名付けたという説もある。
そして生肉を食さないドイツ人の手によって遂に火を通された結果、ハンブルグ風牛のタルタルステーキとなった。今日のハンバーグである。その後ハンブルグ風牛のタルタルステーキはアメリカに伝わり1904年のセントルイス万博で初めてパンに挟んだハンバーガーが登場するに至る…
ということで私はこのハンバーガーが大好きである。(<<これが主題)
NYには幸運にも美味しいバーガー屋が以前から数多くあり仲間内で勝手にバーガークラブなる団体を名乗って食べ荒らしているので、追々その中でも選りすぐりのお店をこのブログでも紹介して行こうと思う。ただチェック済みのお店を紹介するだけで一年ぐらいかかるかもしれないが…
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次回は(も?)食べ物ネタ
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•2008年 5月15日 (木) •
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ブログにいくつかの知り合いリンクを掲示しているが今日はその中からトロンボーン奏者の中川英二郎君について書こうと思う。
いろいろ嗜好もあろうが個人的には英二郎君は日本では最高峰の1人、世界でも5本の指に入る finest なトロンボーン奏者だと思っている。 finest と言ったのは楽器を操るに必要なテクニックだけでなく、そのテクニックに溺れることなく楽器を通して表現する力、音楽を把握する総合力、このギョーカイで生き抜くために必要な素質、などをバランスよく兼ね備えているという意味だ。どんなプレーヤーでも名人と言われる人達はいとも簡単に(簡単そうに)楽器を演奏する。まるで努力なんてしてませんよーぐらいのノリで70%ぐらいの力の抜き具合で信じられないプレーを延々披露するものだが、英二郎君もこういう範疇に十分入る演奏者だ。
スライドを取り入れた構造上、トロンボーンにはバイオリンやトランペット、サックスなどが持つシャープに尖った音楽性のイメージがない。どちらかと言うと大らかでのんびりしたサウンドで下手な演奏をすると間抜けなイメージまで持たれてしまう可能性があるのだが英二郎君の演奏はそういうトロンボーンの持つ固定観念を一発でひっくり返すサウンドを持っている。トロンボーンなんて飽きるほど聞いて来ているNYのミュージシャンやエンジニア達がレコーディングスタジオで英二郎君の演奏を聞いて驚きのあまりひっくり返っているのを私は何度となく目撃している。彼の本当の凄みはそれを余裕でニコニコと、いとも簡単にやり遂げてしまうところであろう。
リムスキー・コルサコフの「熊バチの飛行」という名曲があるのが、普通こんな曲をトロンボーンで演奏しようとは誰も思わないし、この曲をトロンボーンで演奏するんですよと言っても信用しないかもしれない。それをステージでスラっとやってしまうのだから恐れ入谷の鬼子母神、びっくり下谷の広徳寺である。
トロンボーンと聞いてピンと来ない方。是非英二郎君の最新CD「E」で完璧にコントロールされた極上トロンボーンと小曽根真さんのピアノを堪能していただきたい。どうせ聞くなら最高の物から始めるのをお薦めする。更にこのブログを書いている現在ならNHKの朝の連続テレビ小説「瞳」のオープニングタイトルで聴く事もできる。
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